蒸し時間の長い深蒸し茶の特長とは

深蒸し茶と煎茶の違いは、蒸し時間の長短で決まります。一般的な煎茶の蒸し時間は30秒から40秒ですが、深蒸し茶は倍の60秒から80秒ほどの蒸し時間となっています。長めに蒸すことで、より渋みが抑えられて葉も細かくなります。葉が細かくなることによって、抽出すると鮮やかで濃い緑色のお茶となります。渋みを抑えたまろやかな味わいが一番の特長です。色合いも味も出やすいので、水出しでもおいしく淹れられるのも人気のポイントです。また、茶葉が細かくなっていることで、通常の煎茶では茶葉に残ってしまいがちの、食物繊維やβカロテン、ビタミンE、ミネラルといった栄養素がお茶に溶け出しやすくなることから、より高い健康効果が期待できます。湯のみの底に溜まった細かな茶葉こそ、栄養素の宝庫です。

歴史を経て今に愛される豊かな味わい

深蒸し茶の発祥や発展の歴史には諸説ありますが、静岡県中部にある牧ノ原台地とその周辺地域で、旧幕臣たちの努力によって育てられた茶葉が元になっていると言います。牧之原の開墾は、明治時代になって職を失った幕臣たちの救済策として始められました。江戸末期までは、作物の育たない荒地だった牧之原を開墾したのは、明治期にお役御免となってしまった、徳川慶喜の護衛隊200名ほどの人々です。慣れない作業や思うように収入が得られないことから耐えきれずに土地を離れてしまった人も出ましたが、周囲の農家の助けもあって、今のような大茶園となりました。努力の甲斐あってようやくできた茶葉ですが、山間地の茶に比べて葉肉が厚く、渋みが強かったために、当初は評価の低い茶葉となっていました。そこで昭和30年代に、菊川市の茶農家によって、蒸し時間を長くして渋みを抑える工夫がなされ、美味のお茶が誕生しました。

健康パワーの美味しいエッセンス

お茶は健康に良いと昔から言われますが、その健康に良い成分を効果的に身体に取り込むためには、茶葉そのものの摂取が有効とされます。その点、抹茶が良いということになりますが、日常的に飲むのは難しいものがあります。急須でいれる普通のお茶で、より良い健康効果を得たいものです。お茶に含まれる代表的な健康成分としては、ビタミン類、ミネラル、食物繊維に加え、抗酸化作用や殺菌作用に優れたカテキン類、カフェイン、アミノ酸などがあります。これらの成分は、水に溶ける水溶性成分と水に溶けない不溶性成分とに分けられます。お茶の健康効果を生かすには、湯のみの底の茶葉も味わうのがポイントです。 お茶に含まれる栄養素の大半は、実はお湯に溶けず、茶殻に残ってしまいます。含まれる栄養素自体は、煎茶とあまり違わない深蒸し茶ですが、茶葉が細かくなっているぶん、通常は茶殻の中に残ってしまう食物繊維やβカロテン、ビタミンEやミネラル類などもしっかり抽出されます。鮮やかな緑色には、茶葉の健康パワーが秘められています。